Rayのドイツ音楽留学レポート 【第40回】 嵐に巻き込まれて

2022年3月5日

こんにちは、Rayです。私はドイツで音楽の勉強をしている大学院生で、オーボエという楽器を専攻しています。

先月末から世界を巻き込む大変な出来事が続いています。不安を掻き立てられる悲しい情報が入ってくるここ一週間は、ただの悪い夢であってほしいと何度も思っています。まずは惨事が起こっている地域の方の無事と、一刻も早く平和が来ることを心から願います。

それから私の周りのロシア出身者もウクライナ出身者も、私にとって皆大切な友人です。個人が国に振り回されて苦しい思いをすることなく、私も彼らも好きなだけ音楽を奏でられる日常を手に入れるためにできる事は何だろうと考える日々を過ごしています。

さて、私は先月、出先で嵐の影響を受け帰宅困難になりました。今日はそのことを書いてみたいと思います。

ドイツでは今が嵐の季節らしい

2022年2月半ばに、ヨーロッパを襲う大嵐が3つ立て続けに発生し、ドイツでは北部・中部を中心に被害を受けました。その影響でドイツ全国的に長距離鉄道が運休し、小中高校などは休校になった地域が多いそうです。

日本で台風による混乱といえば夏の終わりですが、ドイツでは毎年この時期に天気が荒れやすいそうです。私は留学3年目ですが、これまで毎年2月は日本にいたのでこの時期の悪天候は今年初めて知りました。

私の住む街は海辺に近く、11月下旬頃から春が来るまで風の強い日が多くたびたび唸るような強風が吹きますが、今回の嵐はとりわけ大きいものでした。

この2月半ばの嵐の日に、家から電車で3時間ほど離れた街のオーケストラのオーディションを受けに行ったのですが、結果5日間家に帰れないという異例の事態になりました。

旅程

本来ならオーディションの前日に現地入りすれば十分だったのですが、最初の嵐のピークがオーディション前日になるという予報だったので、大事をとって前々日の夜に家を出ました。

オーディション前日、当日は減便されたものの運行はしていました。安心した私はオーディションが終わった日の夜にその街でオペラを見て、終電で帰宅することにしました。(当日学生券だと15ユーロでS席に座ることができたのです!)チケットを買う前に帰りの電車の運行状況と天気予報を確認して、その後は世界的に有名な歌劇場の美しい響きと悲しいオペラの世界を楽しみました。

しかし、オペラ公演中の3時間の間に、状況が全く変わっていました。終演後、乗りたかった電車が運休しているではありませんか!まるで浦島太郎の気分でした。

そこで急遽ホテルに泊まることにして、そこから帰宅困難な数日間が始まりました。

電車の運行状況

風が強まる前に訪れた青い教会です。

翌朝起きると、北から南に2つ目の嵐が迫ってきている状況で、午前中の電車の運休が決まっていました。滞在先の周辺では雨は降っていなかったため、私は同じオーディションを受けにドイツ南部から来ていた友人と昼過ぎの電車の時間まで一緒に観光をしていました。

午後の電車は運行予定と書いてあるものの確かではなく、でも風はますます強くなっていく中で、各列車の発車時刻1~2時間前になって運休が決定するのです。一日に何度も「次の電車は動くかも。」と思ってはがっくりする時間を過ごしました。結局その日の電車は全部運休になり、二人とももう一泊することになりました。

翌日嵐はドイツ北部から中部に抜けました。南部に帰る友人は嵐の通り道を避けて動いた電車に乗って、なんとか帰宅したそうです。

ドイツを北上する路線は通常毎時1本のところ半分の減便になりました。私は昼過ぎの電車に乗って、同じように足止めを食らった人たちとぎゅうぎゅう詰めになりながらも無事に帰宅しました。1日のオーディションのために5日間を費やしたことになり、疲労困憊して帰ったらしばらく動けませんでした。その日の夜に3つ目の嵐が来て、翌朝も長距離鉄道を中心に影響があったようです。

災害に巻き込まれて思うこと

嵐の影響で電車が止まって帰れない、という時に考えなければいけないことはたくさんありました。今はスマホもアプリでのお知らせサービスもあるので、カフェで情報収集をして作戦を練ることができたのでまだ良かったです。

それでも電車以外の帰宅手段を考えたり(長距離バスや乗合自動車は予約でいっぱい、タクシーは高すぎるから最終手段にするつもりでした。)、ホテル代の補償が出るのか調べたり(鉄道会社のウェブサイトに申請できるフォームがあるそうです。)しながら慣れない街で想定外の延泊をするのは、思っていたよりずっと精神的に疲れることでした。それでも今回は同じ境遇の友人と一緒だったので、どれだけ心強かったことか!不思議なご縁だねと言って帰途につきました。

Twitter情報の速さ

助けになったのは、Twitterでの情報です。本来ならドイツ語のウェブサイトから情報を取捨選択しなければいけないところ、ドイツ鉄道の公式アカウントや気象情報のアカウントによるリアルタイムの情報のおかげで、素早く正確な情報を手に入れることができました。また、ドイツ在住の日本人のつぶやきを読んで励みになったほか、ドイツにいながら日本語でも情報を集められることのありがたみを身にしみて感じました。

嵐に関係するドイツ語

アメリカなどのハリケーンと同じようにヨーロッパの嵐にも人名が付けられるそうで、今回の3つの嵐は順にYlenia(イレニア 女性名)、Zeynep(ゼンナップ 男性名)、 Antonia(アントニア 女性名)と名付けられました。私はYleniaの影響を避けて出発し、YleniaとZeynepの影響で延泊し、帰宅した日の晩にAntoniaがやって来たということです。

気象警報は die Umwetterwarnungといい、嵐を表す言葉にはder Sturm、das Unwetter、der Orkan、die Sturmböenなどのバリエーションがありました。暴風、悪天候、ハリケーン、嵐による突風といった感じに使い分けられていたと個人的には思っています。

ドイツ鉄道の運行状況にはWitterungsbedingte Beeinträchtigungen(天候による混乱)、die Störung(混乱)、 stark einschränken(制限する)、einstellen(運転を取りやめる)、Halt entfällt (この駅には停車しません)といった嬉しくない言葉が並びました。

インターネットで以上の様なドイツ語を入れて検索すると、かなりの被害を受けた写真が挙がってくると思います。

まとめ

最近外に出ると紫色の花が咲いているのを見かけます。春の訪れを感じられて嬉しいです。

私にとって大変な数日間でしたが、今こうして記事にして「まあ大変だったよ~~~」と振り返るだけで済みました。今回の嵐による倒木や洪水で犠牲者が出たニュースを見ましたし、私がただ足止めを食らっただけで済んだのは幸運なことでした。

自然災害で大きな被害を受けたことのある方やウクライナはじめ情勢の不安な地域から着の身着のまま逃げざるを得ない方の苦労とは比になりませんが、今回の経験で、被災して精神的に参ってしまう気持ちを少しだけ実感しました。

日本では最近地震が多く発生していると聞きますし、世界情勢も楽観視できない中虚無感に襲われる瞬間もありますが、気を落ち着けて日常生活を普段通り送るためにも今回は私の(少し大変だった)経験を書いてみました。最後までお読みいただきありがとうございます。

次回は3月19日(土)に更新します。
(公開時には3月12日となっていましたが、訂正いたします)

Ray

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