2021年12月25日
こんにちは、Rayです。私はドイツで音楽の勉強をしている大学院生で、オーボエという楽器を専攻しています。
今日この記事がアップされるのはクリスマスの日です。ドイツはじめヨーロッパではクリスマス当日は家族と過ごす習慣があり、大学の友人たちは一週間ほど前から帰省しています。私たちアジア出身の学生など、たった2週間のクリスマス休暇では実家に帰れずドイツに残る組もいますが、大学構内や学生寮で会う人が少なくなると寂しさでいっぱいになります。
そして、クリスマス当日と前後数日間は祝日ですが、ドイツでは祝日は楽器練習などの大きな音を出せない家が多く、また大学も閉まってしまうので、ドイツ残留組留学生は練習場所の確保に苦労します。
さて、私の記事のヘッダー写真は、アジアユースオーケストラの公演でイタリアのアマルフィ海岸のそばの野外ステージで演奏したときのものです。この時の世界ツアーは私が留学について本気で考え始めるきっかけとなりました。今回はその思い出をつづります。
もくじ
アジアユースオーケストラとは
アジアユースオーケストラ(AYO)は香港を拠点にしている団体で、オーディションで選ばれたアジアの若手音楽家100人による、夏の1~2ヶ月間限定で編成されるオーケストラです。最初の3週間はリハーサルキャンプ、その後日本を含むアジアの国・地域を周って15回ほど演奏会を催します。コロナ禍が始まる前まで30年間、毎年開催されていたそうです。
オーディションは毎年1月頃から順にアジア各国で行われ、日本では東京と大阪で受験できます。その他事情で会場での受験ができない場合は録音資料によるオーディション参加もできます。
AYOのスポンサーには香港のキャセイパシフィック航空や三井住友銀行他多数の企業が名を連ねていて、そのおかげで素晴らしい勉強の機会を得ることができます。
参加者にはそれぞれ奨学金という名目で一定額が支給され、移動費、宿泊費、食費などツアーに関わる全ての費用が賄われます。また、ツアーにゲストコンダクターや世界で活躍するソリストが参加するほか、リハーサル期間中には各楽器にトレーナーが招聘されます。オーボエの先生はイタリア人で、私は先生からオーケストラ曲の演奏、リードづくり、メンタルなどのアドバイスを受けることができました。
AYOから数年が経った今でも気にかけてくれる先生で、「ドイツにいるならイタリアも遠くないから、いつでも旅行しに来てね。」と言っていただいています。
私は2017年に行われた世界ツアーの年、2019年のアジアツアーの年の2回に参加しました。
ツアーで各国を回ること

2017年の世界ツアーは、香港返還20周年を記念する特別な年で、アジアツアーの後にアメリカ横断、イタリア、スペイン、フランス、ドイツ、スイス、ベルギー、チェコで演奏するヨーロッパツアーもありました。2019年は毎年恒例のアジアツアーでしたが、2017年には期間短縮して駆け足で周った台湾、香港、中国、韓国、そして日本をゆっくりと巡りました。
ツアー中はとても忙しく、毎日朝から晩まで続くリハーサルの前後にオーボエのリードの手直しをしたり、新しくできた友達と知らない街に繰り出してご飯を食べに行ったり、夜遅くまで話し込んだりするとあっという間に時間が経ってしまいました。また、早朝4時頃にホテルを出て次の街に向かう旅程や16時間にも及ぶバス移動があり、体力勝負でした。
そんな中でもコンサートで最高の演奏をするには、いかに短時間で効率的に自分の練習をするかが大事でした。厳しいけどためになった経験として今でも大切にしています。
現地の空気を五感で感じて
2ヶ月間で北半球を周った2017年のツアーでは特に、各地でかなり気候が違うこと、土地柄を感じる良い機会になりました。
例えば、サンフランシスコの夏の乾燥具合は想像したことがありませんでした。まぶしい太陽光で肌が焼かれていくとともに身体の水分がどんどん蒸発していく感じは今でもまざまざと思い出すことができます。
オーボエのリードは葦でできているため、湿度によって吹き心地などの状態が変わってしまうのですが、アジアの高温多湿の地域からアメリカに到着した後は、すべてのリードが軽く、息を十分に受け付けられる抵抗感がなくなってしまいました。音も乾いた音になってしまい、慌てながらリードの微調整をしました。
アメリカの作曲家サミュエル・バーバーの木管五重奏の曲で「サマーミュージック」という作品があるのですが、そんな乾いた夏を思い出しながら曲を聴くと雰囲気がぴったり合致します。
ドイツなどのヨーロッパでは日中こそ暑いものの、朝晩は冷え込み薄手の上着が欠かせないくらいでしたが、そのころ日本には台風がいくつも迫っていると家族から聞いていました。
同じ8月なのに気候にこんなにも差があるなら、育った土地によって人生観や考え方、自然観が違ってくるだろうと考えました。この経験を通して、ヨーロッパで発展したクラシック音楽を勉強するなら、その土地に一度身を置いてみようという気持ちが大きくなり、留学を前向きに考えるようになりました。
英語でのコミュニケーション
東アジアと東南アジア各国から集まった音楽家とは、英語でコミュニケーションをしました。リハーサルも英語で行われます。
といっても参加者ほぼ全員にとって英語は外国語、流暢さに差はあれど学習者としての気持ちは同じです。外国語で会話することや間違えることに不安を感じても、とにかく自分の言いたいことを最もわかりやすく伝えることが大切でした。それにオーケストラで使う楽譜や音楽用語は世界共通なのと、音楽に心を奪われたメンバーが集まったグループだったので、共同生活を送っていくうちにコミュニケーションが取れるようになり、人となりが見えてきました。
私は最初こそ緊張していましたが、初日にホテルで同室になった台湾の子と名前に使われている漢字とその意味の話で盛り上がって、一気に緊張がほぐれたのを覚えています。また、初日のリハーサルではバラバラだったオーケストラに少しずつ共感覚が芽生え、ツアー終盤には参加者が一体になってオーケストラの音を奏者自身が楽しむことができたように思います。
私は言葉が少し壁になっていても心を通わせることができる事を知りました。2回のツアーから時が経った今でもメンバーとのコンタクトは続いていて、活躍をSNSで見て刺激をもらったり、時々連絡を取ったりしています。日本語が使えない状況で2ヶ月間友達と楽しく過ごした、ということも自信になっています。(といっても、日本人メンバーもいるので、海外生活のこと、言葉のことで困ったときには助け合ったり、思いっきり日本語で話して息抜きしたりもしていました。)
現在も自分自身を守るために、より自由に外国語(ドイツ語、英語)を使えるように学習中ですが、一番大切なのは心だということを忘れないようにしています。
留学中のメンバーに出会って
私が初めてAYOに参加したのは20歳の時でしたが、その時には20代後半でバリバリ演奏するお兄さん、お姉さんも大勢参加していました。その中には、アジアの出身国を離れてヨーロッパ・アメリカなどで勉強をしている方もいて、彼らから話を聞くことができました。
以前から留学を視野に入れていたものの、海外に住んでいる自分を具体的に想像できなかった私ですが、彼らが私と一緒に音楽を演奏しているということで、留学することが身近に感じられました。さらにAYO後にも友達が今も世界の各地に根を張って頑張っている姿を思い浮かべると、留学したい気持ち膨らみました。
まとめ

AYOへの参加で海外に行ってみる勇気が湧いてきたのがきっかけとなり、今ドイツに留学しています。
私はAYOにご縁があり計2回も参加することができましたが、世界各地にはこのような国際的なユースオーケストラがいくつもあります。私はAYO以外の経験はありませんが、ここに、私が名前を知っていて日本国籍の人も応募できる期間限定のオーケストラを挙げてみます。
PMF パシフィックミュージックフェスティバルのオーケストラ(日本・北海道ほか)
小澤征爾音楽塾(日本・京都ほか)
SHMF シュレースヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭のフェスティバルオーケストラ(ドイツ)
Verbier Festival Orchestra ヴェルビエ音楽祭のオーケストラアカデミー(スイス)
ルツェルン音楽祭のオーケストラアカデミー(スイス)
これらは公式サイトなどで演奏を聴いたり、参加したことのある友人に話を聞いたりしましたが、AYOと同じくらい面白そうです。どれも参加するには厳しいオーディションに合格しなくてはなりませんが、私も年齢の許す限りオーディションに挑戦しようと思っています。実際、PMF、SHMF、Verbierは現在オーディション応募期間なので、今お読みになっている若い音楽家の方は、応募を検討されてはいかがでしょうか?
AYOは2022年の夏は例年のオーケストラではなく、何か別の形での開催となるようです。コロナ禍において特に渡航規制の厳しいアジア各国を回るのでまだ現実的なプランを立てられないのが判断理由だと思いますが、2回もAYOに関わって貴重な経験をさせてもらったAYO大ファンの私としては、近い将来コロナ前と同じかそれ以上の活動ができることを願っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。次回は1月8日(土)に更新します。メリークリスマス、そして良いお年をお迎えください。
Ray
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