Rayのドイツ音楽留学レポート【第32回】オーボエ その2

2021年11月13日

こんにちは、Rayです。私はドイツで音楽の勉強をしている大学院生で、オーボエという楽器を専攻しています。

11月に入り、本格的に寒くなってきました。ドイツの秋冬は夜が長く、うっかりしていると一日太陽光を浴びずに過ごすことになってしまいますが、晴れた日に紅葉した街を散歩したり、日没前に葉を落とした木々が横向きの日差しに照らされているのを見たりできるのはとても嬉しいです。かぼちゃがおいしいのも今の季節の喜びです。

今日は前回に続き私の演奏する楽器「オーボエ」をご紹介する記事をお届けします。

オーボエ奏者の吹く楽器

左がイングリッシュホルン、右がオーボエのベルです。

オーボエ奏者が演奏する楽器は、オーボエの他にいくつかあります。そのうち一番演奏頻度が高いのが「イングリッシュホルン」です。この楽器はオーボエを少し太く長くした楽器で、リードは別のものを用意します。オーボエより籠った音色をしていて、感傷的な気分になります。

イングリッシュホルンの名旋律で一番有名なのがドヴォルジャーク作曲、交響曲第9番「新世界より」の第2楽章です。日本の童謡「遠き山に日は落ちて」のメロディとしても知られています。

オーボエダモーレも、特にバッハの作品で多く登場します。名前の意味は「愛のオーボエ」。オーボエよりも少し低く甘い音色がします。

演奏頻度はイングリッシュホルンに比べると少ないですが、J.S.バッハのオーケストラ曲ではこの楽器がよく登場します。また、ラヴェル作曲のボレロでは、オーボエ族を代表してソロを演奏するのはオーボエダモーレです。

私は来月、ドイツのクリスマスシーズンの定番・バッハのクリスマスオラトリオでオーボエダモーレを担当する機会を得たのですが、オーボエダモーレでのソロ、歌手とのやり取りが美しい部分がたくさんあります。ワクワクしながら準備しています。

ちなみに私の論文のテーマは、ある作曲家のオペラ作品でのオーボエ族の活躍する旋律を挙げて、その作曲家にとってのオーボエ族の役割についての考察の予定です。

オーボエを始めたきっかけ

私がオーボエを始めるきっかけになったのは、中学校の吹奏楽部に入部したことです。楽器体験の時にあこがれのフルートを吹いてみたのですが、ものすごく多くの息を吹き込まなくてはならず3分で酸欠になって断念した覚えがあります。その後他の選択肢と条件(絶対音感があるから移調管は難しい、木管楽器に憧れがある、どちらかというと高い音でメロディを担当したい。など)を踏まえた結果、学校備品が無く楽器体験すらしたことのなかったオーボエをなぜか希望し、なぜかその第一希望の楽器にすんなり決まりました。

その後素晴らしいオーボエの先生と出会いチャンスに恵まれオーボエを通して音楽をする楽しさを知ってしまい、この楽器を常に片手に生活することになりました。

ちなみに、「のだめカンタービレ」のドラマが放送されたとき私は小学生で、中学校に上がったときにもアニメ版が放送されていたり映画が公開されたりしていました。物語の主要キャラクター、黒木君が素敵に演奏していたオーボエを演奏することになったときのドキドキ感は今でも忘れられません。

きっかけの国ごとの違い

日本人オーボエ仲間、管楽器奏者のなかでは、私と同じように始まりは吹奏楽部への入部がきっかけという人が多いです。私の周りの同世代のオーボエ奏者は、のだめの黒木君に影響を受けたと話す人もたくさんいます。

ところが日本以外の国で出会ったオーボエ奏者・管楽器奏者からは、少し違った話を聞きます。

スペインでは学校の部活ではなく街のアマチュア吹奏楽団の活動が盛んなようで、そこへの入団をきっかけに楽器を始める奏者が多いそうです。おそらく年代の違う人が集まった団で、初心者の頃から大ベテランの団員の音を聴いて育ってきたのかなあと想像します。

香港では、学校外での習い事が内申点の様な成績に加点されるそうで、小学校から始まるこの成績が大学受験に影響してくるそうです。そのため小学生のうちから熱心に習い事をさせる親が多く、その選択肢の一つに音楽があるそうです。

このような背景から楽器の先生という職が給料面でも立場面でも安定していて、音大を卒業してからレッスンをして生計を立てるプロ奏者がとても多いそうです。ピアノやフルートのように人気のある楽器だけではなくオーボエというマイナーな楽器でも生活していくことができるそうです。実際香港に住んでいる友人のSNSで、大学卒業後、先生として小学生の小さい音楽家と一緒に写っている投稿をよく見ます。

ハンガリーでは子どもへの早期音楽教育が盛んで、希望すれば楽器貸与でレッスンを受けられるそうです。私の友人はその制度で最初ファゴットを始めたものの、成長スピードが速かったのとちょうどオーボエの生徒が音楽学校を卒業するので楽器が余っているということからオーボエを勧められ、15歳くらいの時に転向したとのことです。(少なくとも日本では)マイナー楽器であるファゴットを習ってからマイナー楽器のオーボエ、というのが私には驚きで、早期音楽教育が結構充実しているからなのかな、と感心します。

ドイツでよく見かけるのは、まず小さいころにいろいろな街にある公立の音楽学校でリコーダーを習い事として始め、その後ある程度大きくなってからオーボエを始める、というプロフィールです。また、日本では管楽器を始めるのはある程度体格がしっかりしてから、といって10~13歳前後で音楽系の部活に入って始める人がとても多いですが、ドイツでは小学校低学年の年齢の子が音楽教室に通って管楽器を習うことも一般的だそうです。

ドイツの音楽学校の先生をしている知り合いによると、「体の小さい生徒のために、息を吹き込むだけで音が鳴るような特別に演奏しやすいリードを用意する必要がある、そのためのリードの作り方を習得するのは、自分のためのリードを作るのとは違う意味で大変だ。」だそうです。

また、ドイツでは個人レッスンに通うのが一般的なため、吹奏楽部が盛んでアンサンブル重視の日本とは違った教育方針だと思います。

まとめ

友達に楽器と出会ったきっかけを聞くと、お国事情まで聞くことができるのでとても面白いです。日本で小さい子どもが習う音楽系習い事と言ったらピアノ、ヴァイオリン、フルートあたりだと思いますが、ドイツではオーケストラ楽器もそこに入ってくるらしいというのが、さすがヨーロッパとそこで根付く伝統だなあと感じます。

今はドイツでの子どもの音楽教育についての経験がなく人から話を聞くのみですが、ゆくゆくは小さな音楽家の教育にも関わることができる人になりたいと思っています。日本では指導するなら現在ドイツで学んでいることを生かせるでしょうし、ドイツで指導する機会があれば、日本でたくさん経験してきたアンサンブルの楽しさを伝えることを目標にすると思います。そのためにも、これからも日々精進します!

最後までお読みいただきありがとうございました。次回は11月27日(土)に更新します。

Ray

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