Rayのドイツ音楽留学レポート【第31回】オーボエ その1

2021年10月30日

こんにちは、Rayです。私はドイツで音楽の勉強をしている大学院生で、オーボエという楽器を専攻しています。今回は私が勉強している楽器「オーボエ」についてご紹介します。

オーボエ?

このサイトをご覧になっているのは音楽に関心のある方が多いとは思いますが、オーボエを見たことがない方も、もしかしたらいらっしゃるのではないでしょうか。

オーボエというのは木製の管楽器で、フルートやクラリネットのように息を吹き込んで音を出します。歴史は古く、オーボエという名前の楽器が歴史に登場したのは16~17世紀ごろのヨーロッパ、さらに発音原理を見ていくと古代ギリシャ神話に出てくるアウロスという楽器にまでさかのぼることができます。また、世界各地に同じような発音原理の楽器があり、日本の伝統音楽に使われる篳篥(ひちりき)やチャルメラもその仲間です。(その発音原理の特徴については後述します。)

ヨーロッパのクラシック音楽の歴史とともに改良を繰り返されてきたオーボエは、現在ではオーケストラ、吹奏楽、少人数のアンサンブルなどで主にメロディを担当することの多い楽器です。「のだめカンタービレ」の黒木君、「響け!ユーフォニアム」のみぞれちゃんが演奏している楽器です。

クラシック音楽以外の分野でのオーボエ奏者は少数派だと思います。しかしクラシック以外の素敵なオーボエの演奏を聞いたこともありますし、オーボエもサクソフォンやクラリネットなどのように、ジャズなどいろいろな分野で十分に活躍する可能性があると私は感じています。

テレビ番組やカフェでオーボエの音が流れてくることがあります。オーボエの丸い音がBGMとしてよく使われているのは、日本でも海外でも同じです。カフェで、私がその日練習していたソロ曲(オーボエソナタなど)がBGMとしてかかっていて、思いがけず練習したことの一人反省会が始まってしまったことがあります。

また、ドラマの感動的なシーンになるとオーボエの素敵なメロディが挿入されていることもよくあるので、そんな時には思わず聞き入ってしまい肝心なセリフを聞き逃します。

発音原理

オーボエは楽器の上部にリードという吹き口を装着します。薄い葦(あし)2枚でできているリードの中央に息が通ることで葦が振動し、その振動が管体に伝わって楽器の音が鳴る、というのがオーボエの簡単な仕組みです。このことからオーボエはダブルリード族、と分類されています。

篳篥(ひちりき)という、鼓、横笛などとともに日本の伝統音楽である雅楽を演奏する楽器もオーボエと同じ発音原理を持っています。世界にはその他さまざまなダブルリード族の民族楽器があり、少し鼻に通るような音がします。

といっても世界のダブルリード楽器で似ているのは発音原理だけで、吹奏感や音色はそこまで似ていないだろうというのが私の個人的な予想です。数年前、友人の篳篥を吹かせてもらいましたが、必要な息の量も口の振動する感覚も全く違って驚きました。

こちらがその当時撮った吹き口の写真です。(両端が篳篥の吹き口(蘆舌―ろぜつ というそうです)、右から2番目がオーボエ、その隣がオーボエの仲間イングリッシュホルンのリードです。)

篳篥の蘆舌はオーボエのリードに比べてかなり幅広なため、息の入り方にも違いがありました。オーボエを吹くときは細く速い息を細いリードに狙って送り込む、という感覚になりますが、篳篥にはよりツボの大きいゆっくりの息をたくさん吹き込まないと振動せず、何秒か安定させて音を出すのも私には難しいことでした。

運指

オーボエの運指の基本的な仕組みはリコーダーと同じで、楽器の穴を上から順にふさいでいくと音が低くなり、穴をあけていくと高くなります。

オーボエの誕生から400年の間に改良が繰り返されて、現代のオーボエは複雑なキイメカニズムを持っています。メインの音孔に加えて、遠いキイをふさぐためのレバーがいくつもあります。全部で24箇所のキイを右手親指以外の9本の指で操作します。右手親指は、楽器を裏側から持って支えます。

オーボエ奏者の日課

オーボエのリードは、すべて手作りで消耗品です。自然の材料を使うので材そのものの質や天候などの条件に左右されやすく、さらにとても小さいので少しの変化で演奏しやすさがまるで変ってしまいます。こだわるポイントの多いこのリードは、プロ・アマチュア問わず自作する人がとても多いです。また、自作せず楽器店などで完成品のリードを手に入れる場合でも、長く良い状態を保つためのアフターケアが欠かせません。

簡単にリードづくりの手順をまとめると、オーボエ用に栽培された主に南ヨーロッパ産の葦を購入して、様々な加工を加え、材料を休ませる時間を取り、最終的には0.01mm単位の恐ろしく細かい修正を重ねて完成、です。とても時間のかかるこの作業があって初めて、オーボエで楽しく音楽することができるのです。ある程度時間が経ったら寿命を迎えてしまうので、リードケースの中にはまだ修正したいリード、慣らし吹きをするリード、なかなか良い状態のリード、本番まで取っておきたいリード、次の次の本番の時によくなっているであろうリード、などが並んでいます。

オーボエ奏者のバッグの中には

オーボエを片手に日々生活しているのですが、付属品をたくさん持ち歩かなければならないのがオーボエ奏者の宿命です。いったい楽器バッグに何を入れているのか、写真でご紹介します!

オーボエ、リード、楽譜の他に、持ち歩くものは、

予備のリード、リードを水につけて湿らせるための水入れ、管体を掃除するための布(スワブ)、音孔に溜まる水を取るためのあぶら取り紙、楽器のねじが緩んでしまったときのためのドライバー、特定の音孔を開くためのドライバーの様な専用の機械、楽器の表面と金属部分を拭くための布。

それに加えて、リードを修正するための工具をいつも持っています。ナイフ、ナイフでリードを削るときに下敷きのようにして使うプラーク、定規、リード側面からの息漏れがあった場合に備えて水道管テープ、リードを固定する糸がほどけてしまった場合に備えて瞬間接着剤、葦の部分のずれを修正したい場合に備えて細いワイヤーとペンチ、リードの開き具合を調整するためのライター(リードを炙って調整します。)…。

「~に備えて」というものがいかに多いかお分かりになったと思います。

オーボエ本体は重さが700g、分解すると小中学生の習字セットの様なバッグに収納できるのですが、付属品を入れた総重量はかなり重くなってしまいます。なので移動による肩こりが心配です。また、特に飛行機に乗る場合はナイフはじめ工具を機内に持ち込めないので、LCCを使う時に預け入れ荷物に料金が発生する場合は残念な気持ちになります。うっかり工具を機内持ち込み用荷物に入れてしまい、空港の手荷物検査で没収されてしまったこともあります。

まとめ

自分の専門分野以外のこと、生活のなかで感じていることをいつも記事にしてきましたが、今回は珍しく私が音楽にかかわる手段であるオーボエについて書いてみました。今回書いてみて、身体の一部にすらなっている自分の楽器のことを客観的に紹介するのは結構難しいことがわかりました。一度始めたら他にもいろいろ話が出てきたので、続きは次回ご紹介したいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。次回は11月13日(土)に更新します。

Ray

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です