小雪のハンガリー音楽留学レポート【第2回】日常生活①

     2024年4月21日

第2回 日常生活①

今回は、ハンガリーでの日常生活における食料品を紹介します。どのような場所で、どれほどの食料を調達出来るのか、そこでの品揃えや品質はどうなのかについて、これまでの経験を元にレポートしていこうと思います。

—食料品

・営業時間について
私の生活居住地であるハンガリーのブダペストでは、主に4店舗(Prima、 Lidl、 SPAR、 Penny)のスーパーマーケットが点在していて、少し中心地から距離のある場所でもよく見かけます。ここは都心ということもあって、少し外へ出れば多くの人々が行き交い、生活を送っている様子が感じられます。まず、平日の昼間であっても、カフェやレストランで休憩している人が多いです。ここブダペストでは、様々な勤務形態があり、柔軟な働き方ができているからだと思います。そんな彼らの食料の調達場所は、スーパーや市場、小売店(24時間営業)が挙げられます。これらの店舗の営業時間は、平日は朝6時から7時にかけてオープンし、18時から22時までにはクローズします。週末は数時間短縮され、 祝日は全て閉店となります。

よく利用するスーパーPrima

・利便性について

スーパーを題材に述べるならば、良く言えばほとんどがスーパーで賄える、悪く言えばスーパーでしか補えない利点と欠点があります。今や、世界でも有名且つ不可欠なコンビニエンスストアは、日本同様にハンガリーでも小売店として見かけますが、店内に並んでいるのは、飲料水やアルコール類、 おつまみ類だけです。そのためスーパーの利点に加え、欠点を挙げたのは、 基本的に品揃えが疎らだからです。根菜や葉野菜、林檎や柑橘類などの野菜類や果物類に関しては、比較的常備されている一方で、上記に挙げたスーパーは旬の時期を除いて、確実に揃っていないと思います。特に、週末は平日の残りが置いてあったりと、食料を無駄にしない取り組みの一貫なのか、商品のバラつきをよく見かけます。私はよくこの状況に引っ掛かり、別のものを仕方なく購入する経験があります。私なりに品揃え順位をつけるならば、上位からLidl、Penny、SPAR、Primaになります。

時々利用するスーパーLidl

・品質について

各種類の品質は日本ほど保証されていないと思います。基本的に、商品はカゴにそのままゴロっと敷き詰められている為、時々、腐りかけや干涸びた物と一緒くたになって陳列されています。また、自分で必要な個数を手に取り、タッチパネル式の計量機にかけなければなりません。用途に合わせ、商品の近くにビニール袋が常備されていますが、有料となっています。こうした様子は、各国の過剰包装からくる環境問題への配慮を感じさせます。計り機の操作方法は、商品を選択して、重量計測で表示された値段付きのバーコードシールを貼る、という流れです。この手順を踏まずにレジへ向かうと、買い物かごに入れた商品をその場に置いたまま、その商品のあるコーナーへ戻り、バーコードシールを貼らなければならなくなります。私は上記の手順を忘れた経験は無いのですが、商品に元から付いていたバーコードのエラーにより、商品交換をしに戻らなければならなかったことがありました。さらに卵については、特に注意が必要です。なぜかというと、ひび割れた卵が混在していることが多く、買った人が帰り際に割ってしまったのが原因とみなされます。そのため、私はその場で必ず蓋を開け、一つ一つ確認して購入するようにしています。しかし、全てのスーパーがバラ売りになっているのではなく、日本の様に包装されているものもあり、各会社の商品の扱い方の違いを感じます。

スーパーPrimaの入り口付近にある、ぎっしりと敷き詰められた柑橘類の棚。


タッチパネル式の計量機。


同じくスーパーPrimaでの、ラップ包装されたマッシュルームや野菜。

・スーパーまでの移動手段

ブダペストでの買い物の手段は、徒歩かトラムの為、買い物に野菜や果物に加え、飲料水を幾つか購入したものなら、家までのリュックとエコ袋の両サイドの重さに耐えなければなりません。ここは都心ですので、基本的に車の駐車場はモール地下に備えられています。これは景観を守る為なのかなと思います。中には路上駐車する人もいますが、全てのスーパーの利用客が車で出かけている訳ではなく、今にも引きちぎれそうな買い物袋の紐を手に、帰る人の姿を度々見かけます。特に高齢の方が一生懸命荷物を持ち歩いている姿は、痛々しく思います。

・支払い方法

 さて、ハンガリーのスーパーでの支払い制度はどうなっているのか。基本的にカードや電子マネーか現金ですが、ほとんどがカードか電子マネーで事足ります。というより、現金よりこれら二つの方法が良いです。これには、テクノロジー化の背景が大きく関係していると思います。現在、ヨーロッパ 諸国では、どれだけ立派な一国家として自国が発展し独立しているかを、最先端技術をもって示しているのではないかと思います。昨今、隣国のウクライナでの戦争により、ハンガリーにおいても、1956年に勃発したハンガリー動乱という歴史的背景をもつ国家として、より一層自国中心主義が国民間に高まっています。実際に、昨年の動乱勃発日である10月23日(祝)には、近所の小規模の広場で集会が開かれ、多くの人が国家を熱唱したり、 リーダー格の人のスピーチで士気を高め合ったりと、国民一人一人の愛国意識がひしひしと感じられる出来事がありました。果たして、これがテクノロジー化が進んでいる要因かどうかは定かではないですが、何らかの関係性があるのではと思っています。その恩恵としてか、約100年の歴史をもつ建物と最先端技術の融合という、まるで昭和と令和の不可思議な空間を味わえます。少し話が外れてしまいましたが、カードや電子マネー決済は数秒を要するのみで利便性が高いです。何事も合理的で素早くの精神が強い、ヨーロッパならではの風潮が、少なからず仕事の効率化に役立っていると思います。その為、ほとんどのスーパーやお店でカード決済機が導入されています。一方、現金支払いに関しては今もありますが、レジに並んでいる間に支払い金額を用意していないと間に合わないほど、とにかくレジの対応が早いです。なので、 少しでも手こずっている様子が見えたものなら、周りからの無言の圧力を浴びせられるといった、気まずい雰囲気を味わう可能性があります。こうしたカードや電子マネーの背景から、母国との生活感の違いを感じる日々です。

さて次回は、より詳しく個々の食料品にフォーカスし、同じ商品における違いや値段につい て、また、食生活にも焦点をあて、どのようなレストランやファーストフードが根付いているかをレポートしてみたいと思います。 

                                       小雪