2025,9,20
第22回 音楽院 総集編①
今回からは総集編と題し、その第一弾として全ての授業における課題についてレポートします。ここではレポートとプレゼン発表について、授業ごとの課題内容の違いや、特にプレゼン発表に関して気付いたことなど、他のクラスメイトの様子も含めてレポートにしていこうと思います。
—課題
授業ごとに出される課題は主に二つで、レポートとプレゼンテーションになります。内容の文字数や書式など詳細は、授業を担当する先生によって違いがありますが、誰もが理解しやすくまとまりの良いものであることが重要です。ただ、気を付けなければならないのが、文字数のカウントの仕方です。これは単語を一つずつか、または文字ごとなのかの違いがあります。私も読み違いをし、条件にある最低文字数に達していないと指摘を受けたことがあります。
レポートでは何を書けば良いのかというと、授業を踏まえての意見や感想を書きます。内容はA4用紙1枚から2枚で、文字数は2000文字から3000文字を限度にまとめます。少し多く感じますが、英文での説明となると、題材の提示から理由、そして結論までもっていくには、これくらいの量がちょうど良いくらいです。授業の内容は、先生の用意したパワーポイントを、説明を聴きながら理解していくもので、各自ノートやiPadに書き込みます。
例を挙げると、ある授業では題材が「授業を通して得たもの」でした。なんともざっくりとした題で、少し自分の意見を書き起こすのに苦労しましたが、まずは何を学ぶ場で何を得たのか、それがどう役に立ったのかを導入にしました。次に、授業ごとでの内容を書き、自分が受けた指摘と他の人の指摘を比較して、より具体的な内容に入りました。最後に授業の終盤に感じた変化や、この指摘がどう自分に生きていくのかなどをまとめて締めくくりました。こうした流れが見える文章になるよう、工夫してまとめる文章力も大事だと思います。
一方、プレゼンテーション発表はどういうものなのかというと、先生が提示した題材から選びまとめるもので、ここはほとんどレポートと変わりないですが、ひとつ違うのは曲目を選ばなければなりません。例として、ある音楽史の授業では題材が、特定の年代の室内楽についてでした。その時代はちょうど第一次世界大戦が勃発し、多くの音楽家たちを含めた多くの人の生活が急変しました。時代背景と音楽とが、どのように影響し合い作品として生み出されたのか、また作曲方法などにも変化があったのかどうか、こうした詳しい内容を例題の作品とともに紐解いていきました。
この一連の授業の流れをプレゼンテーションにまとめて、クラスで発表をします。自分で選んだ作品を、作曲家の人生から作曲背景まで、付随した音源や演奏を聴きながら、より理解を深めていくものでした。また発表後の先生からの質疑応答に対し、すぐに自分の意見が言えるかも重要なポイントです。
—近況報告
今年の夏は、日本で過ごしました。7月半ばの二週間ほどセミナーに参加するために日本を離れた時期もありましたが、約2ヶ月の滞在は心身ともにリフレッシュした気がします。ただ本当の理由は、右手首の炎症の治療の為の帰国でした。5月頭から発症し始め、その時はちょうど実技試験が控えていたので、練習に没頭する時間が増えていて、こうした状況から症状がひどくなってしまいました。そのためハンガリーで最近新しく開業された整体院へ通うも、根本的な治療にはなりにくいと判断し、急遽日本へ戻ることになりました。今回、新たな機会としていただいた演奏会や、5月末から9月頭へと実技試験も延期できたことから、万全の状態に戻れるよう、この夏は治療とリハビリも兼ねて日本で練習に励んでいました。色々と夏らしいことも体験出来たのと、留学してから日本への意識感覚も変わり、改めて良い国に生まれたと感謝の気持ちを持ちました。
【旅行で奥会津に行った際の様子。会津城から染め物体験と、多くの日本ならではの体験を味わえました。】
9月に入り、新学期のスタートとともに、延期していただいた実技試験を受けました。私を含め諸事情により変更をした3人の生徒は、試験官の7人の先生の前での試験となりました。しかし、試験会場とされた場所が普段レッスンで使う部屋だったので、ピアノを囲うように座ると、まるで四方八方から監視されているような構図で試験は行われました。そのため、なかなかのスリルの中で、これまでで一番良い感触をもって演奏出来たのはとても良かったです。
こちら(ハンガリー)の気候は照り返す暑さから急に肌寒くなり、一気に秋へと変化しました。朝晩は特に冷え込み、12,13度まで下がることもあり、日中も21度ほどで寒くも過ごしやすいです。
—リサイタル開催にあたって
⑤今回のコンサートで伝えたいことと意気込み
このリサイタルの演奏機会を受けた際に考えたのは、留学を経て得たものを伝えることでした。私は海外への留学にすごく憧れがあり、クラシック音楽の本場であるヨーロッパで学べたら良いなと漠然と考えていました。しかし、高校の同級生が進学先を海外への音楽院に決めたことが、私の留学意欲をより現実的なものとして強めたかもしれません。ただ、当時はまだまだ技術面や精神面で劣っていたこともあり、ようやく留学しても良い時期かなと判断できたのが、今回の留学時期でした。それから色々と紆余曲折があり、中でもこの留学レポートの執筆に携われたのは、大きな財産だったかもしれません。一つの出来事や経験が文字や写真を通して伝えられるのは、私にとっても思い出が鮮明化され、また誰かの役に立つツールになっているかもしれないと思いました。音楽の世界へ進むために、ずっと留学を視野に入れてきましたが、その経緯や決意がどのようなものであったのか、まさに今留学を決断するに至った歩み、そしてここハンガリーで得た新たな知識を、今回の演奏会でお伝え出来ればと思います。
さて次回は総集編の第二弾として、クラスコンサートと試験についてです。毎学期設けられているクラスコンサートと、その集大成として行われる試験ですが、この二つは非常に重要です。実際に、どのような課題があり、どのように試験が行われるのかを、実体験も交えてレポートにしていこうと思います。