小雪のハンガリー音楽留学レポート【第5回】
第5回 公共交通機関
今回は、公共交通機関に関してのレポートです。ヨーロッパの主要交通手段としては、どのような乗り物があり、人々の利用頻度はどうなのか。また、各乗り物の特徴的な部分や切符の購入方法など、他にも車内の様子についても触れていこうと思います。さらに、日本の公共交通機関との違いにも触れながら、これらのテーマに沿ってレポートしていこうと思います。
—乗り物
ヨーロッパにおける公共交通機関は、各々の国を象徴する歴史的建物の景観を壊さないよう、さまざまな工夫が至る所で見られるのが特徴的です。ハンガリーでは、主に3つの乗り物である、トラム、バス、地下鉄がよく利用されています。これらを動かす架線は、都心のブダペストで多く見かけますが、建物のあるブロックごとに道が整備されているので、そこまで街の景観を邪魔していません。これは車にも同様の配慮がされていて、駐車場は地下か建物内の車庫、もしくは建物付近の路上駐車スペースに停めるしかありません。私のアパートにはないのですが、特に都心の多くの建物の構造上、門を通ったら中庭のような広いスペースがあり、そうした場所に車が入っていく様子をよく見かけます。こういったところからも歴史を感じられるのは、ヨーロッパの醍醐味です。
では、人々の生活基盤になっている乗り物はどんな感じなのか。まず、トラムは利便性が高い印象です。気軽に乗り降りでき、街の至るところを走っているので、近郊の移動手段にはもってこいだと思います。万が一乗り遅れてしまっても、数分待てば次の便に乗ることができます。一駅ごとの距離が意外に長いので、徒歩では少し遠い目的地には最適な為、多くの人が利用するのも納得です。最近は、多くの観光客がヨーロッパ一周旅行の一つにブダペストを訪れる為か、携帯を片手に目的地へ向かっている姿には、何となく親近感を覚えます。ただ、利便性が高いがゆえに困るのが、比較的頻繁に起こる運行中止です。電車検索アプリやGoogle mapに何の表示もなく、通常に走っているかと思いきや、突如乗っている最中に「次が最終地点の為、仮運行バスへ乗り換えしてください」という、アナウンスが流れた際は、仕方なく徒歩を選択せざる得ない状況もあります。また、時々道路状況が混雑していると、トラムが走っていない隙を狙って、救急車が猛スピードで通る状況には驚かされます。
トラムの駅、歩道の延長線上にあり乗り降りも楽。
この線路の上を、救急車が通ります。
ヨーロッパではペットも同伴可能なので、可愛らしいワンちゃんに癒されたりなんて事もあります。トラムに乗車中のワンちゃん、写真に納めた際は冬の時期で洋服を着用中。
トラムの駅付近、地下鉄の駅から外へ出た様子。街の様子と一体感があり素敵。
次に、バスはそれほど利便性が高くない印象です。というのも、トラムと違い運行スペースが設けられていない為、道路の混雑状況に左右されやすく、時間に大幅に遅れが生じます。他にも、都心となると多くの車が 路上駐車されている関係で、バス停のスペースに入らないと、交差運行できない車で溢れかえり、バスの行先を遮る状況も多々起きます。ただ、空港から都心への直結バスである100Eバスがあるのは、本当にありがたいです。最後に、地下鉄は遠出に最適だと思います。日常的に利用するには、そこまで留学生には必要性を感じませんが、長距離の移動を要する場合には、良いのではないかと思います。上記で話したトラム運行中止の際に、目的地付近に地下鉄の駅があると、代替として利用するには大変に助かります。日本と同様、そこまでの大幅な遅延がない為、時間内移動にも適しているのではないかと思います。
—切符
ヨーロッパの最大の特徴でもある、テクノロジーの進化が生活の至る箇所に影響している為、公共交通機関に欠かせない切符にはとても便利な点が多いです。特にピックアップすべき点をご紹介します。一つに、オンライン購入が可能なことです。携帯に専用アプリを入れ、どのような種類の切符を購入するのか選択し、カード決済を済ませればO Kです。乗車する際に、スキャンコードをカメラで読み取りをすれば、乗車した証拠が携帯に表示される為、時々点検に訪れる係員に見せる以外は、自身で管理すれば良いので楽です。同様に、紙の切符も駅の購入機で手に入れることができ、車内の切符読み取り機にかざし刻印をつけるシステムになっています。ただ、時々読み取り機が作動していないこともある為、そういったハプニングに見舞われたくなければ、断然オンラインチケットがお勧めです。二つ目に、全ての乗り物が利用可能なことです。オンラインチケットの料金に全てが含まれているのか、上記で話した乗車手順を踏めば、トラムやバス、地下鉄までも、自由に乗り降り出来ます。特に、旅行で訪れた際には、24時間チケットを購入し、いつ何時移動できる手段を持っておくのをお勧めします。実際に、つい最近お見かけした日本人女性が、その24時間チケットで移動されていました。日本では各鉄道会社によって毎度料金が発生することから見て、全ての乗り物に対応しているのは、非常に有り難いです。ただ、上記で少し触れた空港直結バスの100Eバスなど、日常的でない特殊な乗り物に関しては、別途料金が発生する為、必ずチケットを購入しなければなりません。
さて次回は、ブダペストの街の景観について、どのような建物や光景が広がっているのか、また、市内の中心部で有名観光地となっている場所について、散策しているような感じに紹介していければと思います。